大人になるってどういうこと?
みなさんこんにちは!
日本では、子供は20歳になると正式に成人として認められますよね。
最近では成人年齢を18歳に引き下げようという法案が提出され、2022年からは18歳で成人になるようですね。
まぁその話は置いておいて。
何が言いたいかというと、年を取るだけで大人になることができるのが今の日本社会です。
しかし、世界には様々な国や民族が住んでおり、そこには独自の『大人のなり方』が存在します。
時には勇気を、時には知恵を、時には心の強さを。その社会で大人として必要だと考えられる資質を試され、無事にその試練を乗り越えたものだけが大人になれる。
そんな日本では考えられない風習や考え方が世界にはたくさんあるんです。
そうした大人になる為の試練は、通過儀礼と呼ばれ、現在でも世界で数多く残っていると言われています。
世界では、どういった人がそうした試練を乗り越えて「大人」と呼ばれていたのかを見てみましょう。
今の私たちが目指すべき本当の大人像が見えてくるかもしれませんよ。
大人への一歩!通過儀礼ってどんなもの?
ナゴール
通過儀礼と聞いて多くの人が思い浮かべるのはバンジージャンプでしょう。
今でこそ世界中でエンターテインメントの一種として楽しまれていますが、そのはじまりはバヌアツ共和国というオーストラリアから東北東に行った先の小さな島国で生活するある部族の通過儀礼です。
この部族では、高さ数十メートルのやぐらを植物で組み、そこからツタを足に巻き付けて飛んだものだけが成人になることができます。

バヌアツにおいて、この儀式はナゴール(Naghol)と呼ばれ、今なおナゴール祭りと称して毎年行われています。
足に巻くツタは自分で選ぶのですが、長すぎれば地面に激突して死んでしまいますし、短過ぎればひんしゅくを買います。大人としての判断力も問われているのかもしれませんね。
ちなみに、このナゴールは暴力的な夫から逃げる妻が足にツタを巻いて高所から飛び降りて生き延びたことに由来するそうです。追いかけて飛び降りた夫は亡くなったそうですね。
なぜこの出来事からナゴールが成人になるための通過儀礼になったのかまでは調べても正直よくわかりませんでした。
という感じだったんですかね?
ライオン狩り
続いて紹介するのはライオン狩りです。
ケニアのマサイ族と言えばだれでも一度は聞いたことのある有名な民族ではないでしょうか。視力が尋常ではなく良い彼らは、噂では数キロ先の物まで見分けることができるらしいですね。
そんなマサイ族にも通過儀礼がありました。
それがライオン狩りです。
狩猟民族でもある彼らは、狩りのために戦士の部隊を作ります。部族の食糧を調達するというまさに多くの命を背負うその部隊に入ることは男として大変な名誉であり、一人前の男として認められたことを意味します。
男とは部族を守る力を持つもののこと。己の力と知恵でライオンを倒せることこそが、マサイ族における大人の男なのですね。
ちなみに、現在は政府がライオンを保護しているため、このライオン狩りはできなくなっているようです。

日本における通過儀礼
海外だけでなく、日本にも通過儀礼がありました。
例えば、米俵を1つ(60kg~80kg)持ち上げることができれば一人前、山を無事上りきることができれば一人前、などなど。
各地で様々な通過儀礼が存在していたようです。その多くは今では失われているようですが、時にはお祭りの行事などとして残っていることもあるようですね。
また、戦争が行われていた明治時代などでは、「国民皆兵」の体制が取られ、徴兵検査が通過儀礼となったこともあります。徴兵検査で甲種合格(良い成績での合格)となることは公的に「一人前の男」と認められたということを意味し、憧れの対象でもあったそうです。
こんなものもあったようですね。
大人になることとは……。
今日見てきたものの多くは、古くから続く伝統的な行事でもあります。
つまり、古くから大人とは、子供にはない『何か』、あるいは社会に役立つ「何か」を身に着けることができた人と考えられてきたということです。
時にそれは狩りの上手さであり、高所から飛び降りる勇気であり、身体の丈夫さでした。
総じて言えることは、その社会が存続するために必要とされる力、もっと簡単に言えば、その社会で持っていると尊敬される能力こそが大人の証だったのです。
では、今の日本社会において年を取るだけで大人になれるというのは少し不思議な感じがしますね。
現在では多くの人が多くの役割を担って社会を存続させています。その中で「この社会にはこの能力が絶対に必要なんだ!」というものもないでしょう。
しかし、だからといって、何も考えずに、言われるがまま過ごすのでは子供と同じです。
今一度自分は本当に「大人」になれているのかを考えることが大切なのではないでしょうか。
それでは、今日はこのあたりで!
余談
いくつか通過儀礼の例をあげてきましたが、その大半は男子を対象とするものでした。当然女子を対象とした通過儀礼も存在するのですが、男子のものと比較すると少数です。
これは、女子には大人になるにあたり様々な節目があることが要因なのではないでしょうか。体の変化や妊娠など、生きていく上で経験する出来事がすでに通過儀礼的な役割を果たすからだと考えられます。
もちろん、女性は強い男を支えるもの、女性は守られるもの、という古い考え方も影響していたのでしょう。